異音

小説書いていきます。

2015-01-01から1年間の記事一覧

僕の奇妙日記 泣虫死神

九月三日。晴天。いつも休日は昼まで寝ていることが多いのだが、今日は珍しく朝の八時に目が覚めた。目覚めがいい上に心地良い涼しさで、とても気分がいい。カーテンを開けると太陽の光が僕の部屋に降り注いだ。こんなに気分のいい朝は初めてなので、散歩に…

僕の奇妙日記 溶解学級

八月十七日。晴天。今日は最高気温三十五度を上回る真夏日だ。同じ制服を着た人間が何人も汗を垂らし、まるでゾンビの様にふらふらと歩きながら登校している。僕もその一人だ。教室に設置されているクーラーの冷気で癒されることを思いながら、一秒でも早く…

お知らせ

短編をあげると告知していましたが、短編を考えているうちに新しい話を思いついてしまったので、そっちをあげていきます。まぁ、短編集のようなものにはなりますが。明日か明後日には一話目を更新する予定ですので、楽しみに待っていただけたらと思います。

反省(あとがき的な?)

「僕の中に棲む悪魔」はこれで完結なのですが、終わり方が少し雑になってしまった気がします。申し訳ありません。私としては、自分で作った話を最後まで書き終えることが今までなかったので、書き終えたことだけでも褒めていただきたいな、と‥‥図々しいです…

僕の中に棲む悪魔 柊の話

俺は柊の中で生まれた。一番最初に見たものは自分に殴りかかる男だった。自分でも不思議なことにその男が父親だってことはすぐに理解したよ。きっと柊の記憶を最初から引き継いでいたんだろうな。あ、先に言っておくが、俺は両親が死んだときの事故には一切…

僕の中に棲む悪魔 かりんの話

「‥‥誰?」苦しそうにこっちを見ながら、掠れた声でかりんはそう言った。その言葉で俺は我に返る。「何言ってるの、かりん」手の力を緩め、大嫌いなあいつの口調を真似て言った。かりんは自分でも何を言っているのかわからないというような顔をする。なんだ…

僕の中に棲む悪魔 かりんの話

私は物心ついたときから、ひいくんと一緒だった。ひいくんはいつも優しかったけど、どこか頼りなかったわ。でも、そんなとこも可愛いなって思って、気が付いたら好きになってたの。ずっと一緒にいたくて、高校も同じ学校を選んだ。「偶然だね」なんて笑いな…

僕の中に棲む悪魔 かりんの話

かりんは僕の幼馴染みです。物心ついたときから一緒にいました。美咲とは小学校に入ってから知り合ったので、彼女と一緒にいる時間の方が長いのです。彼女はとても気が強くて優しい女の子です。学校では少し目立つ女子達の輪の中にいながらも、クラスに馴染…

お知らせ

昨日のお知らせで伝え忘れていたことがあったので…この話は更新したあとにも関わらず、自分で納得できない箇所は勝手に修正して更新し直しております。読んでくださっているときに「あれ?前のと食い違ってない?」となることがあるかもしれません。そのとき…

お知らせ

「椿の話」も終了して、きりがいいのでここで再びお知らせをさせていただきます。この話のタイトルが決定しました。「僕の中に棲む悪魔」というタイトルにします。異論は認めませんと言いたいところですが、認めます。自分のネーミングに自信が持てないので…

僕の中に棲む悪魔 椿の話(番外編)

私は慕ってくれるかりんちゃんや大切にしてくれるひいくんが大好きだった。勿論、あの子のことも大好きだったのだけれど、あの子への気持ちだけ少し違ったの。あの子とひいくんは真逆なようでとてもよく似ていて、自分が庇っているのがあの子だと気付くのに…

僕の中に棲む悪魔 椿の話

俺は小学校低学年の頃、両親が事故死するまで虐待を受けてたんだよ。椿は頭も外見も良く、両親にとって自慢の娘だったんだろうな。両親は椿だけにはとても優しかった。そして、柊は両親の機嫌が悪いことを察するとすぐにどこかへ消えていた為、両親の怒りは…

僕の中に棲む悪魔 椿の話

お姉ちゃんは私を本当の妹のように可愛がってくれていたわ。そして、私も本当の姉のように慕っていたの。お姉ちゃんとの買い物はいつだって楽しかった。服屋では色んな洋服を試着しては私に見せるの。雑貨屋では髪留めのリボンを指でつまんで髪に翳しながら…

僕の中に棲む悪魔 椿の話

僕と姉の椿は二人きりで外出することもよくあるような仲の良い姉弟でした。椿の買い物に付き合っているときは店員の方から「彼氏さん」と呼ばれることが度々ありました。僕達は姉弟と思えない程に顔が似ておらず、年も一つしか変わらなかった為、恋人同士に…

お知らせ

この話のタイトルは決まっていません。「美咲の話」というのは、この章のタイトルだという風にお考え下さい。「美咲の話」は前回までで終了です。今後もあのように三人の視点を別々に更新していきます。誤字脱字があった場合や、読みにくかったり、意味がわ…

僕の中に棲む悪魔 美咲の話

「美咲!こっちだよ」車道の向こう側でいちょうを眺めていたあいつは、その声に反応して俺達の方を向いたんだよ。「早くおいで!」俺がそう言うと予想通りあいつは車道に飛び出して、走行していたトラックに轢かれたよ。馬鹿な奴だよな。左右確認くらいでき…

僕の中に棲む悪魔 美咲の話

私はあの子が嫌いだった。憎くて仕方なかったの。だから、六年前あの子が轢かれたときは嬉しかったんだ。あの子も大好きないちょうと舞うことができて嬉しかったんじゃないの?ああ、でもびっくりしたなぁ。だって、目の前で人が跳ねられるところなんて初め…

僕の中に棲む悪魔 美咲の話

彼女がこの世を去ったのは六年前の秋、僕達がまだ小学五年生のときでした。彼女は僕の目の前で、トラックに轢かれたのです。宙に舞った彼女は一枚のいちょうと共に、ゆっくりとアスファルトの上に落ちていきました。状況がすぐに把握できなかった僕はその場…